バウンダリーを考える

私がバウンダリー(境界線)という言葉を知ったのは、今から15年ほど前のことになります。アメリカから入ってきた情報で初めて接したもので、それは、自分の責任範囲と他者の責任範囲の間の境界線のことでした。

この境界線をはっきりさせることで、自分の感情や態度が変わっていくというのです。当時の私は、これは日本にはない考え方だなと思いました。ですが、実際に、境界線を意識するようにすると、それまでは自分の感情がかき乱されていた場面で以前より冷静でいられるようになり、また、他者の感情に振り回されることが少なくなり、精神的に楽に過ごせるようになったと実感しています。

私たち親、特に母親は、子どものことについて、まるで自分のことのように感じられることがあると思います。それはある意味必要なことであり、豊かな愛情がある証拠でもあると私は思います。

ですが、子どもは成長と共に、親とは違うひとりの人格を持った人として認められなければなりませんし、当然、子どもの境界線(責任範囲)はどんどん広がっていきます。

ところが、子どもが不登校になった時、親である私たちは自分が不安になり、その子にとっていちばん必要なことは何かを冷静に考えられず、自分の不安を解決したいために子どもに助言し、行動してしまうことがないでしょうか?とにかく子どものためになることだからと言って、あれこれ動いてしまうことです。ですが、後から考えると実は必要でないことも多いのではないでしょうか?このような時、境界線を意識することは、状況を整理し、その時本当に必要なことは何かを考えることに役立つと思います。

長谷川俊雄さんの著書「しんどい人間関係に境界線をつくる心地いいバウンダリー」は、この境界線の考え方をわかりやすく、読みやすく書いてくださっている本です。

境界線という考え方はともすると、あなたはあなた、私は私と、場合によってはとても冷たく突き放すかのように感じられることがあります。ですが、長谷川さんは、「一緒に経験する」「一緒に体験する」という「バウンダリーベルト」という考え方を提唱されています。「バウンダリー(境界線)」だけだと相手を切り離してしまうところを、一緒に分かち合い、一緒に取り組んでいく部分や場所があっていいよというイメージでしょうか、その部分はあなたと私のどちらも関わって良い部分と言ってもいいかもしれません。例えば、オープンダイアローグの「対話」がその部分になるかもしれません。

「バウンダリー(境界線)」に興味のある方にはご一読をお勧めします。本を読んだだけでは、なかなか実践できないと思いますが、意識するだけでも何かが変わっていくかもしれません。読まれた方はぜひ例会に来られた時に感想を教えてください!お待ちしております。(文:世話人)