『横浜市教育振興基本計画素案』の紹介

横浜市教育委員会は、今後4年間で進める施策や取り組みをまとめた「第4期横浜市教育振興基本計画」の素案を9月に公表しました。この素案は、一般向けに公表されており、用語には注がつけられ、わかりやすくなっています。この素案に対する意見(パブリックコメント)を、市民から募集していますので、ご興味のある方は、ぜひご一読になって、パブリックコメントを提出されてはいかがでしょうか? 〆切は10月末です。

詳細はこちらのリンクから↓
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/kyoiku/plankoho/plan/kyoikuplan/kyouikushinko.html

上記で公開された素案の中から、不登校に関する部分を抜粋したいと思います。
(文中のp20は、素案の20ページに掲載されているという意味です。太字は記載通りのものです。)

最初は、現状についての説明と、この基本計画の指針が書かれています。

p4 ◆国における教育政策の主な動き及び横浜市の抱える課題等
4~5行目に「~不登校児童生徒等、多様できめ細かな支援に対するニーズは増加し続けていることに加え~」の記述があります。

p5 (1)一人ひとりを大切に
5行目に「~不登校児童生徒は年々増加しており、適切な支援を行うことが求められています。~」の記述があります。

p6 (2)みんなの計画・みんなで実現
13行目「児童生徒のより良い学びや不登校児童生徒支援等にあたっての民間企業・NPO 等との連携や、市立図書館など学校教育以外の部署との連携、幼保小連携、学校運営協議会11と地域学校協働活動12の一体的な推進による地域と学校の連携・協働、など学校外との連携も重要です。

p26 コラム 「特別支援教室」
 特別支援教室についての説明があります。実際の教室の名前は、学校によって異なるそうです。校内ハートフル事業もこの特別支援教室を使用して行われているそうです。

p28~29 多様な教育的ニーズに対応した教育の推進
 この2ページは、特に不登校の児童生徒のための支援について書かれていますので、ぜひご一読ください。
 横浜市が行っている支援の全体像がつかめると思います。
 
 次のような図も載っています。

第4期横浜市教育振興基本計画素案p28より

 これは、不登校児童生徒数が横浜市でも全国でも増えていることを示しています。

第4期横浜市教育振興基本計画素案p29より

 この図は、横浜市が不登校児童生徒支援のために行っている事業内容を示したものです。同じページにそれぞれの場所の説明があります。ここを見ると、横浜市がどのような事業を不登校支援のために行っているか、概要がわかると思います。

p32 指標
 指標がパーセンテージで表されています。
 「不登校の支援を受けている児童生徒のうち、安心できる居場所があると感じる割合」は、令和3年度の現状値は、78.9%となっています。令和7年度の目標値は85%です。

 「不登校の支援を受けている児童生徒のうち、自分に合った学びの機会を得ることができたと感じる割合」の同じく現状値は、83.2%で、目標値は85%です。

残念ながら、不登校の支援を受けている支援がどのようなものか、この指標がどのような調査から導き出されたのかは、この素案には書かれていません。

p33 主な取組 1不登校児童生徒の居場所・学びの支援の充実
 ここは、必見の箇所と思われます。
 想定事業量として、横浜教育支援センターによる支援を受けている人数は、令和3年度に約650人とのことです。横浜市の不登校児童生徒数は、令和3年度には、6,000人ほどになっていると思われるので、約1割ということでしょうか。令和7年度の目標値は900人です。校内ハートフル事業実施校は、中学校で20校、目標値は中学校全校です。

p35 コラム 校内ハートフル事業の取組
 校内ハートフル事業(いわゆる校内フリースクール)についての説明です。

p54 安心して学べる学校づくりの中の現状と課題
 5つめの●より
 不登校の児童生徒数は、この10年で約1.72倍になったことが書かれています。

以上、不登校についての言及がある箇所をピックアップしてみました。いかがでしょうか?抜けている所があるかもしれませんが、ご容赦ください。また、不登校という言葉は出てこないところでも、児童生徒に対する対応について書かれている箇所や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについての箇所などもありました。

市が行っている支援の名前は聞いたことがあっても、きちんと理解できていなかった所が整理されたのではないでしょうか?また、そのようなことは聞いたことがないということがあるかもしれません。それはどういう支援なのか、学校の先生に確認することもできると思います。ここに書かれていることを予備知識として理解していると、その後の学校との話がスムーズに進むかもしれません。

もちろん、行政が行っている支援に合わないお子さんもたくさんいると思います。ですので、行政の支援を使うべきだと一般化して言うことはできないでしょう。ですが、親の会としては、このような行政の取組を知り、評価し、相互理解のもとに、さらに取り組んでほしいことや、工夫したら良いことなどを提言していきたいと思います。

今回の第4期計画は、2018年に掲げられた「横浜教育ビジョン2030」のアクションプランとして発表されたもので、その理念に従って具体的な施策を描いたものと思われます。計画の趣旨から、教職員の働き方改革、学校施設の建替えに関することまで、学校教育に関わる幅広い事柄がまとめてあります。全体で100ページほどありますが、比較的読み易く書かれていますので、ご興味のある方はぜひどうぞ。

詳細は、次のリンクへどうぞ。
パブリックコメントの提出方法は、下記リンクの中の、記者発表資料に書かれています。

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/kyoiku/plankoho/plan/kyoikuplan/kyouikushinko.html

(世話人)