自立とは社会の中に依存先を増やすこと

中3男子の母Marleneです。今日は、先日NHKのEテレで知った、脳性まひの障害を持ちながら小児科医として勤務後、今は東大先端研の准教授、熊谷 晋一郎さんのお言葉を紹介したいと思います。

生後の高熱で脳性まひの後遺症が残った熊谷さんは、「健常な動き」を身につけるため、幼少時より毎日4-5時間に及ぶ厳しいリハビリを受けました。その後、その効果は否定されるものの、「障害は身体の中ではなく外にある」という考え方を学びます。つまり「私が2階に行けないのは私の足に障害があるからではなく、エレベーターがないからだ。だから、社会や環境の側を改善していこう」と考えるのです。自身のリハビリ体験も「身体に合わない規範を押し付けられる体験」と総括されていますす。

私は、この考え方は不登校にも適用できると思います。子供に不登校を克服させるのではなく、その子にあった学ぶ環境を整えることが大事だと思うのです。学校教育の「合理的配慮」や「インクルージョン」もこうした考え方の一環だと思いますが、登校による集団学習を不動のものと考えず、もっと抜本的な発想転換こそ求められていると強く思います。

また、熊谷さんは、「自立すること」についても興味深い考え方を提唱していらっしゃいます。「自立は、何ものにも依存しないことではなく、依存先を増やすこと」。実は膨大なものに依存しているのに、「私は何にも依存していない」と感じられる状態を「自立」と定義し、「自立」を目指すにはむしろ依存先を増やさなくてはならないと説いています。つまり、障害者であれば、依存先が親や施設に集中している状況から、それ以外に広げていくことを自立と定義するのです。不登校の場合、依存先は親のみに集中している状況も多いのではないでしょうか。

息子は小さいころから将来の生活についての不安が強く、私も自分がいつまで息子を支えていけるのか不安に思っていましたが、この言葉を目にしたとき、ヒントをもらったような気がしました。こうした考えは、息子が不登校にならなければ心に刺さることはなかったように思います。まだ将来に対する不安は強いですが、私自身も息子を通して新しい考え方を学び、変わっていきたいと思います。

※熊谷先生が「自立」に対する考え方は、以下のリンクにわかりやすく説明されていますので、ご興味のある方はご覧ください。
TOKYO人権 第56号(平成24年11月27日発行)
インタビュー「自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと」
熊谷晋一郎
小児科医/東京大学先端科学技術研究センター准教授

https://www.tokyo-jinken.or.jp/publication/tj_56_interview.html

Marlene

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