学校の先生が不登校の子どもに直接会いたいと言ってきたら  ~子どもは会いたくない時~

子どもが不登校になり、全く登校していないと、学校から先生(特に校長先生)との面談を要請されることがあります。学校の先生と会うことが、子どもにとって励ましになることもありますが、ここでは、そうではない場合について考えてみたいと思います。

まず、子どもたちは何らかの苦痛を体験して、不登校になりました。不登校の子どもたちが、同年代の子どもたちに会うことを避け、学校の近くに行くことも嫌がることはよく聞かれることです。そして、学校の先生に会うことで、さらに精神的苦痛を受けることもあります。

ですので、子どもが先生に会いたくないと意思表示している場合や、子どもにとって先生に会うことがかえって良くないと判断される場合は、親のみの面談にするなどして、子どもが安心して過ごせるようにすべきと考えられます。すでに、多くのケースでは、子どもが直接面談できないことを理解した対応が取られています。

ですが、安否確認といって、何としてでも直接子どもと面談しなければならないと、学校が不登校の子どもと親を追い詰めるケースが、今でも見受けられます。安否確認とは、本来災害時の生存確認のために使われる言葉ですので、不登校というだけで、学校から子どもの生存確認をされるということに違和感を感じる方もおられると思います。

このような対応の背景は、ひとつは、不登校に対する理解が不十分であること、もうひとつは、児童の虐待死事件や中学生が巻き込まれる事件が起こったことを受けて、文科省が出した次の通知が元になっているようです。

26文科初第1479号 平成27年3月31日

『連続して欠席し連絡が取れない児童生徒や学校外の集団との関わりの中で被害に遭うおそれがある児童生徒の安全の確保に向けた取組について(通知)』

この通知の前文にあるように、この通知は児童生徒の被害防止のために出されたことがわかります。

その中の『別添 児童生徒の「被害のおそれ」に対する学校における早期対応について【指針】(平成27年3月31日)』の内容を見ていくと、所在不明の場合、家庭の協力が得にくく連絡が取れない場合、学校外の集団(成人が主な構成員であると思われるものも含む。)との関わりがある場合、欠席が続く場合が挙げられています。

『「欠席が続く場合」について、ここで示しているのは「被害のおそれ」がある場合のものであり、例えば、完全に自室に閉じこもり両親も十分に状況を把握できない場合や自傷行為の危険性がある場合などが想定される。』とあります。ここに挙げてある例であれば、その家族をもっと支援できる専門機関等につながる必要があるでしょう。

また、2017年に施行された教育機会確保法や2019年10月25日の文科省通知では、不登校児童生徒が学校を休む必要性を認め、学校復帰を目標としてきた過去の通知が廃止されました。不登校になった子どもが心身を休ませ、安心できる環境づくりが認められているのです。

この流れで考えると、不登校であればどんな場合でも、学校の先生が子どもに直接会わなければならないということではないと言えます。もちろん親も日頃から学校と必要な連絡を取り、誤解のない関係を持つようにすることが大切と言えるでしょう。