春を間近に感じる今

寒いこの冬ですが、それでも公園の木々の花芽や庭の様子を見ると、春が近づいていると感じる季節となりました。学校の入試が始まり、コロナ対策に追われるニュースを見ると、ただでさえ忙しい季節なのに、担当者の方々は本当に大変だろうなあと思います。去年に引き続き、今年の受験生も大変でしょう。健闘を祈るばかりです。

これから進級進学を迎えるこの季節は、不登校の子どもを持つ親はつらいと感じる方が多いのではないでしょうか? 今、どうしたらいいのか、何をすべきで、何をすべきではないのか、不安は限りなく出てきます。

そうした中で、在籍している学校との接触も増える時期です。どういうスタンスで接したらいいのでしょうか?

これは私見ですが、私は学校の先生は基本的に不登校の子どもや親のことは理解できないという立場で考えています。こういう話を聞いたことがあります。ある学校の先生が、不登校の子どもの親がとても悩んでいて大変だから、力になれないかと考え、話を聞く機会を持つようにしていたそうです。ところが、その後自分の子どもが不登校になったのです。そして初めて、どれだけ親としての不安が大きいか、初めてわかったそうです。

私自身も自分の子どもが不登校になるまで、不登校は他人事であり、あまり考えたことがありませんでした。自分の子どもがそうなって初めて、襲われる不安、恐れ、心配の大きさに圧倒されました。皆さん、そうではないでしょうか?ですから、体験しないとわからないとは、このことだと思うのです。

ですので、学校の先生は、本人が当事者でない限り、不登校の子どもや家族のことは理解できないで当然ではないでしょうか。(もちろん不登校の子どもたちや親を理解してくださっている方々もおられますが、数はとても少ないと思います。)そうすると、本当に子どもに必要なことは何か、何を学校と協力していけるのかを、子どもの思いと希望を聞きながら、親である私たち自身が主体的に、主導権を持って考えていくことになります。これは、とてもエネルギーのいることです。考えたことがないことである上、そこに、親子で“レールから外れてしまったような不安”が伴い、親としての役割を果たせていないという罪悪感に駆られることも多いのですから。

学校とのやり取りでは、子どもに本当に今、必要なことは何なのか、先生方にこちらから協力をお願いする姿勢で対応してはいかがでしょうか?しばらくそっとしておいてほしいのか、カウンセリングをお願いしたいのか、オンライン授業のことなどいろいろあるでしょう。子どもによってその必要は、ケースバイケースです。

【参考資料】==========
義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針 文科省 平成29年3月31日
通称“教育機会確保法”1-(3)より

(前半省略)登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある。なお、これらの支援は、不登校児童生徒の意思を十分に尊重しつつ行うこととし、当該児童生徒や保護者を追いつめることのないよう配慮しなければならない。
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「児童生徒理解・支援シート(または、支援計画書)」について

学校では、不登校や支援の必要な児童生徒について、“支援シート”あるいは、“支援計画書”という書式を作成している場合があります。個々の児童生徒の事情を次年度に引き継ぐ資料になっているようです。

【参考資料】==========
文科省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日
(前半省略)その児童生徒に合った支援策を策定することが重要であること。その際、学級担任、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の学校関係者が中心となり、児童生徒や保護者と話し合うなどして、「児童生徒理解・支援シート」を作成することが望ましいこと。

文科省「児童生徒理解・支援シート」(例)
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個々の子どもの状況を理解するために、学校の先生にとっての参考資料であるには間違いありません。ですが、どのように記載されているのか、どのような情報が引き継がれているのか、親には開示されない限りわかりません。目的は、書式を作成することではなく、その子どもを理解することであるべきです。

先生方の引き継ぎのためにも、この時期、不登校児童生徒と親に対し、いろいろな支援を話し合うことがあるかもしれません。ともすると、即席的に学校にどうしたら来るようになるかのみが中心となりがちですので、そこに捕らわれず、本当に必要なことからぶれないで対応したいものです。また、学校の先生が不足しているというニュースがありました。常に忙しい仕事をしている先生方へのねぎらいの言葉も忘れず、お伝えしたいですね。(世話人)